サックスの吹き方はじめ方(実践編.1)
このブログは私が楽器演奏を覚えたり初心者の方に教えたりする中で、疑問に思ったり教則本などでは伝わりづらいと感じたことなどを含め、これから楽器(サックス)を始めたいと思う方のお役に立てればと思い書くことにしました。
私独自のとらえ方などあるかもわかりませんが参考にしていただくとありがたいです。
楽器の組み立て方などは前回のサックスの吹き方(準備編)でご紹介していますのでこちらをご覧ください。→サックスの吹き方はじめ方.1(準備編)
1.楽器を持ってみよう!
サックスにはキーがいっぱいついていて、最初はどこを持っていいかわからないですよね。
また、マウスピースのセッティングにも神経を使う必要があります。
まずはそのあたりから説明したいと思います。
リードのセッティング
サックスの音色のベースはここでほとんど決まってしまうくらい重要なリード。
リードは適度に水分を含まないとうまく振動してくれないので、楽器をセッティングする際にリードの先端を口に含むなどして湿らせておきましょう。
リードの先端をマウスピースの先端と揃えるか、リードをマウスピースの先端より髪の毛一本分下げる程度で位置を決めたら(どのあたりが鳴り良いか自分なりに位置を探してみましょう)リードの削っていない表皮部分あたりにリガチャーをセッティングしてねじを締めて固定しましょう。リードが前後左右バランスよい位置にセットされているか確認しましょう。
※写真のリード少し割れてますね(;゚Д゚)失礼いたしました(;´Д`A “`割れていないものを使用しましょう。
また、このリガチャーは上ねじ仕様なのでマウスピースの上側にねじがありますが、下ねじのリード側にねじが来るタイプのリガチャーがサックスに付属のマウスピースとしては一般的だと思います。
また、リードをセッティングし終わったら必ずマウスピースにキャップをかぶせておきましょう。不慮の接触によりリードとマウスピースの先端が破損するのを防ぐためです。
楽器の持ち方
まず、首にストラップをかけ、先端のフックを楽器のリングに掛けましょう。ストラップにはいろいろなタイプのものがありますが、フックの部分がばね等で閉じて勝手に外れないようなタイプがおすすめです。ふいにフックが外れて楽器が落下なんてことにもなりかねないので、気を付けましょう。
楽器にフックをかけたら、次に右手を楽器の下のほうにある親指掛け(サムフック)に右手親指の第一関節あたりにあて、右手人差し指をFキーの上、右手側(下側)の一番上の白蝶貝部分にあて、中指をその下、薬指をその下の白蝶貝部分にそえておきます。
ストラップの長さを調整しないといけないので、右手を上記の要領で所定の位置に置いたら、マウスピースを口にくわえたときに自然な位置に楽器が来るようにストラップの長さを調整します
左手はストラップをかけたリングの上にある丸い指置き(サムレスト)部分に左手の親指の腹部分を置いて左手人差し指を白蝶貝部分の一番上(機種によって異なりますが)に置き、左手中指をCキーの上薬指をキーGの上に置きます。
楽器自体は自分の手で持つというより、首にぶら下げている感じでOKです。
楽器は口元と左手の親指と右手の親指の3点でバランス良く支えると良いと思います。
2.音を出してみよう
いよいよ音を出してきますが、ここからはかがみを見ながら練習することを心がけてみましょう
楽器を持って構えてみましょう
肩から力を抜いて、リラックスします。
肩幅くらいに両足を開き、しっかりと立ちます。この時肩や腕に力を入れすぎないようにリラックスして立ちましょう。
先程ストラップの長さを調整しましたが、ここで再度ながさを調整します、構えた状態でマウスピース が自然に口元にくるように調整します。
この時、手に力を入れて楽器を持ち上げないように注意しましょう。
猫背にならないように、胸を張ります。
アンブシュアについて
サックスを吹くときの口の形をアンブシュアと呼びます。
音を安定して出す為にはこのアンブシュアが大事になります。
一般的にマウスピースの先から約1cmあたりを目安にくわえます、そのまま下唇を下の前歯に軽く巻き込み、そこにマウスピースを乗せます。
マウスピースは、ズレやすいので上の歯で軽く押さえて位置を決めます。
マウスピースのいちを決めたら、輪ゴムでとめるようなイメージで、唇全体を使って息が漏れないように締めてみましょう。
この時下唇から顎までの間は膨らまずピンと張るような感じで咥えると完成です。
息を吹き込んでみましょう。
楽器に息を入れるにはかなりの抵抗があります。
沢山の量でスピードのある息を入れないと、サックスは鳴ってくれません。
また、頬を膨らませたりアンブシュアを変えないように気をつけましょう。
息を吸うときには、アンブシュアを一瞬だけ緩めて、口の両端から息を入れるようにします。この時上の歯と下唇はマウスピースから離さないようにしましょう。
あとはしっかり安定した音が出るまで何度もトライし繰り返していくうちに音の出るポイントが必ず見つかるはずです、根気よく焦らずにトライしましょう。
どうしても音が出ないときは?
音が出ない原因をいくつか挙げるので、自分が当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
①リードがずれたり変形していないか?
②息の量、スピードが足りない。
③口の締め具合が弱くて息が漏れている。
④アゴに力が入り過ぎてリードとマウスピースの隙間が潰れて、息の通り道が遮断されている。
⑤リードが厚すぎて振動していない。
⑥リードが薄すぎてティップオープニングが取れていない。
などが考えられますので、面倒かもしれませんがひとずつチェックしていきましょう。
それでもうまくいかない場合はマウスピースをネックから外して、マウスピース単体で練習してみましょう。音が安定してきたら楽器に取り付けて再度チャレンジしてみましょう。
また、初めのうちは音が鳴らなくてリードが振動して音が出る感覚がわからないと思いますので、どうしても音が出ない時は思い切ってマウスピースをリガチャーのあたりまで口に咥えて思いっきり息を入れてみましょう、そうしたら音程は別にして音が鳴ってくれるはずです。
音が鳴ったら、咥えるいちを元に戻して行き音程が取れる位置まで戻しましょう。
息を入れる量ですが、中音のC(真ん中のド)を中心に下行きに行くときは下に行くほど音が裏返ったりしやすいので下に行くほど息の量をだんだん増やしていくようにすると出やすいように思います。
3.楽譜を読んでみよう
じつは楽譜が読めないんですけど、、、。
心配いりません。ちょっとした決まり事を覚えたら簡単です!さあトライしてみましょう!
音符とは?
音符にはざっと二つの事を表しています。
1.音の高さ(音程)
下の譜表は「ドレミファソラシド」を楽譜にしたものです。
次に臨時記号を紹介します。実際の曲中で例えばドとレの間の音も出てきます。
「ド」と「レ」の間の音を「ドより半音高い音」としてとらえると「ドの#(シャープ)」になり、「レより半音低い音と見れば「レの♭(フラット)」になる。
2.音の長さ
音符のもう一つの役割は、音の長さを表すことです。下に各種の音符を並べてみました。
真ん中あたりの4分音符を基準の長さ(1拍)とすると、左へ行くほど倍の長さになり、反対に右へ行くほど半分の長さになる。
8分音符より細かい音符が2つ以上続く場合は旗をつなげて表記することが多い。
休符とは?
次は休符の紹介です。音符と同じように長さが変化します。
また、音符や休符に付点をつけることで、元の長さの半分を足すことができます。
拍子の種類
拍子とは、曲の1小節が何拍でできているかを表したものです。代表的なものとして4拍子の場合「1・2・3・4~2.2.3.4~3.2.3.4・・・・」とかぞえます。<足でカウントをとる。>
リピート(繰り返し)記号
実際の曲はいくつかのフレーズ(メロディの集まり)を繰り返して出来ています。なので繰り返し記号を使って同じメロディを省略して表記することがあります。
以下に例を挙げていますので、参考に順序を追ってみてください。
演奏順序はA→B→C→D→E→C→F→G→H→I→J→H→I→K→L→M→L→M→Nとなります。
その他の記号
これまで挙げてきたもの以外にサックスを演奏するのに必要で代表的な記号を紹介したいと思います。
記号などたくさん出てきましたが、自分が演奏したい楽曲の中に記号などが出てきたら再度調べて実践していけば、ちょっとずつ覚えていけるかと思いますので一度に覚える必要はありません。演奏をできるところから楽しんでいきましょう。
4.運指表(指使いを憶えよう)
基本的には縦笛と同じ
中音のドから下行きの低音のドまで下がる練習から行うとよいかと思います、この場合左手中指(中音のド)から下のドまで順に閉じてゆく(ドシラソファミレド)、次に同じく中音のドからオクターブキーを押した高音のドまで、この時レの音から上は左手親指部分のオクターブキーを押した状態でひとつずつキーを開けていく(ドレミファソラシド)。慣れてきたら下のドから2オクターブ上のドまで上がり、反対に上のドから下のドまで滑らかに吹く練習するといいと思います。
以下にリットーミュージックさんの運指表のリンクを貼っておきますので参考になさってください。
5.サックスの楽譜について
サックスの楽譜について少し書きたいと思います。運指表の指使いで『ド』の音を出した後、もし近くにピアノやギターなどがあれば同じ『ド』の音を出してみましょう。
すると、同じドの音を出しているはずなのに、出る音が違うと思います。
実はサックスで出す『ドレミファソラシド』はピアノやギターの『ドレミファソラシド』とは食い違っています。アルトサックスで『ド』の音を出すとピアノやギターでは『ミ♭(E♭)』の音が出ます。(テナーやソプラノの場合『シ♭(B♭)』)このことからサックスは移調楽器と呼ばれます。
移調についての詳しい記事はこちらから⇩
6.チューニングをしてみましょう
CDなどの音源や、バンドなどで他のプレイヤーと一緒に合わせて吹くときに重要なのがチューニングです。
サックスのチューニングはマウスピースの抜き差しで行います。マウスピースをネックのコルク部分から抜くと音程が下がり反対に入れると音程が上がります、チューニングをする際はこれを利用して音程を調整します。
目安としては初めにコルクが1cmくらい見える程度までマウスピースを入れ、チューニングを行います。
チューニングは一般的にアルトサックスの場合ファ#(F#)、実音のラ(A)の音で行います。
チューニングの手順
チューニングメーターのスイッチを入れピッチを442Hzに設定する。
運指表を確認してファ#の音(実音のラ)の音でチューニングします。チューナーによってはE♭やB♭などに設定できるタイプもあるので、その場合はアルトサックス、バリトンサックスの場合はE♭、ソプラノサックスやテナーサックスの場合はB♭に設定すれば、そのままファ#(F#)と表示されるのでそれでチューニングを行っても構いません。
一般的にメーターの真ん中が0で、その右側に針があると音程が高く、0より左側にあると音程が低い、ので高い場合はマウスピースをほんの少し抜き、反対に低い場合は少し入れ、ちょうどゼロになるように調整します。
サックスの場合息のスピードやアンブシュアによって音程が変わってしまうので、初めは苦労することがあるかと思いますが、私的には初めは力みすぎず、緩すぎない安定したアンブシュアを作れるようにアンブシュアを作ってチューニングした後、マイナスワンCDやバンド演奏のはキーボードやベースなどの音をよく聞き最終的には耳で合わせていく必要があるので、よく周りの音を聞くようにしましょう。
とはいっても初めのうちはなかなか音が安定しないのであまり神経質ならずに、チューニングの手順を覚えて、少しづつなれるようにしていくとよいとおもいます。
7.楽器のお手入れの仕方
サックスはピカピカしているので(アンラッカーは除く)指紋や皮脂汚れなどが付着していると気づきやすいですが、内部の汚れは気づきにくいのでメンテナンスを怠りやすいですが、キーの裏側などにはタンポと呼ばれる皮などを使った素材が使用されていたり、キーの接触面などはデリケートなため楽器内部に水分が残っているとサビなどが発生しやすいため、演奏後はこまめなメンテナンスが必要です。
メンテナンスに使用するスワブなどの道具についてはこちらの記事から
楽器内の水分を拭き取る
楽器を吹き終わったら、マウスピースを楽器から外し、マウスピースのリガチャーを緩めリードの先端をつぶさないように注意しながらリードを外します。
外したリードはティッシュなどで先が折れないよう気を付けながらやさしく拭き取り、リードをケースに収納します。
次にマウスピースの水分などをやさしく拭き取り、リガチャーを戻し、マウスピースキャップをはめて収納します。
次にネックを外し、ネック用スワブがあればネック用スワブを通していきます、この時ネックにスワブが引っ掛からないように広げて太いほうからやさしく通します。
引っ掛かるような場合はスワブが大きい場合など、無理して通すと破損する可能性があある為注意しましょう。
本体も同じく太いベル側からスワブの重り部分を入れてネックのジョイント部分に出してやさしく引きます、この時にスワブが引っ掛からないように広げて通しましょう。
次にキーのタンポ部分にも水分がついているので、タンポとトーンホールの間にクリーニングペーパーを挟んで取り除きます。
このとき、クリーニングペーパーを挟んだまま無理やりペーパーを引くとタンポなどが傷む原因となるので、ペーパーを挟んだまま引っ張らないようにしましょう。
特に、何もしていない状態で閉まっているキーはタンポとトーンホールがくっついてしまう場合があるのでしっかり水分を取りましょう、また、すでにタンポがトーンホールにくっつきやすくなっている場合パウダーペーパーを使用すると、くっつきにくくなります。
サックスの置き方
サックスにも置き方があります。楽器スタンドがある場合はスタンドを使用すると一番よいですが、ない場合で極力避けたいですが、テーブルなどに置く場合楽器を持った場合の右側が下になるように置きます、なぜ右側が下がよいかというと左側には左手小指のテーブルキーがあるからです。こちらを下にしてしまうと、テーブルキーが変形したりする恐れがあるためです。なので、楽器を持った時に右側になる方が下になるように置きましょう。
運悪くぶつけてしまった場合は
運悪くぶつけてしまった場合は、管体がへこんでしまったりキーが動かなくなってしまうので、注意して取り扱いましょう、また、そうなってしまった場合は楽器店に持ち込むなどして専門家に見てもらいましょう。
サックスは600近い部品を使用し、いろんな部分が連動するようになっているので、下手に触ると余計にひどくなる場合もあるので注意しましょう。